青森県南部地方に伝わる刺し子技法を菱刺しといいます。菱刺しは同じ模様であっても、サイズの違いなどにより、様々なデザインがございます。今回は27種類の模様を施した菱刺しのピンクッションのご紹介、そして、その中のひとつ「鱗紋」の図案と鱗文様の意味について綴ります。
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27種類の菱模様
模様サイズ「横22目×縦11段」の27種類の菱模様を、10種類の緑系の糸を使用して刺しました。
使用糸は、Anchorの267番、COSMOの335番、OLYMPUSの2011番、Anchorの255番、Anchorの280番、OLYMPUSの432番、OLYMPUSの815番、Anchorの843番、Anchorの261番、OLYMPUSの287番です。
布は、1cm角 縦約11目×横約11目の麻布を使用しています。
裏面です。
菱刺しは、裏面には表面とはまた異なる趣の模様が表現されます。
こちらを表面として施しても美しいですよね。
さて、27種類の模様の中に、2種類の「鱗紋」がございます。
どれが「鱗紋」であるか、お分かりになりますでしょうか。
まずひとつがこちらになります。三角形が交互に並んでいます。
もう一種類がこちらです。
また違った雰囲気で可愛らしいですよね。
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鱗文
鱗文は、三角形が交互に入れ替わる文様です。
魚や蛇、龍の鱗に似ていたことから、この名前がつけられました。
蛇や蝶を連想させ、脱皮を表し、厄を振り払って進化する、再生するという意味を持ちます。
古代より世界各地で見られ、厄除けの模様として親しまれています。日本では古墳の壁画や埴輪に施されています。
菱刺しの「鱗紋」
菱刺しでは、「鱗紋」を「花の紋こ」とも呼びます。
菱刺しは同じ模様であっても、サイズの違いなどにより、様々なデザインがございます。
異なる模様サイズの「鱗紋」を一部ご紹介したいと思います。
模様サイズ「横38目×縦19段」
模様サイズ「横38目×縦19段」の「鱗紋」の図案です。
こちらが実際に刺したものになります。
模様サイズ「横42目×縦21段」
模様サイズ「横42目×縦21段」の「鱗紋」図案です。
模様サイズ「横46目×縦23段」
模様サイズ「横46目×縦23段」の「鱗紋」の図案です。
模様サイズ「横54目×縦27段」
模様サイズ「横54目×縦27段」の「鱗紋」の図案です。
「二つ紋こ」とも呼ばれる模様です。
中心の模様を刺し連ねたものです。
模様サイズ「横58目×縦29段」
模様サイズ「横58目×縦29段」の「鱗紋」の図案です。
こちらも、模様サイズ「横58目×縦29段」の「鱗紋」の図案です。
「花の紋こくずし」とも呼ばれます。
模様サイズ「横62目×縦31段」
模様サイズ「横62目×縦31段」の「鱗紋」の図案です。
地刺し風に施したものです。
27種類の菱刺し模様のピンクッション
ピンクッションに仕立てたものがこちらです。
詰め物は羊毛を使用することにより、針が錆びない工夫をしております。
サイズは、縦約6cm×横約8.5cm、高さ約2.7cmです。
周りはAnchor280でかがりました。
上下非対称の模様もあるので、こちらが下側になりますが、どちら向きに使われてもよろしいかと思います。
模様や色合いにより、異なる雰囲気を味わえる点も菱刺しの面白さであると思います。
針を刺した様子です。
お裁縫箱に入れた様子です。
緑の植物と飾ってみました。緑色は安心や調和を表す色です。
菱刺しには菱の枠「アシガイ」のつかない模様「地刺し」などもございますが、「アシガイ」のついた模様が並びますと、やはり菱刺しらしさが溢れるように思います。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
「鱗紋」はじめ、27種類の菱模様を施し、菱刺しらしさを味わっていただけるピンクッションになったのではないかと思います。
人々の知恵や想いにより紡がれた、菱刺し特有の味わいを感じていただけたらと思います。
今回ご紹介した「鱗紋」のように、模様サイズによっても趣が変わりますし、色の使い方の違いによっても異なる味わいが生まれます。
是非、図案などをご参考に、皆さまも菱刺しを楽しんでみてくださいね。
お付き合いくださいましてありがとうございました。
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