菱刺し

青森県刺し子技法南部菱刺し。布の種類や布選びのポイントについて

刺し子 布
青森県南部地方に伝わる刺し子技法を菱刺しといいます。布や糸などの材料選びは、作品の色合いや風合いを決める大切な過程であり、楽しみのひとつでもあります。今回は菱刺しで使用する布の種類や特徴、選び方のポイントなど、布について綴ってみたいと思います。

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コングレス布と麻布

菱刺しで使用する布の種類は、大きく、綿素材のコングレス布と麻布の二種類に分けることができます。

コングレス布と麻布、使用していて感じる、それぞれの特徴について綴ってみたいと思います。

コングレス布

コングレス布は、麻布よりも柔らかさを感じます。また、縦横の目がはっきりしていているので目が拾いやすいです。

一方、麻布よりも厚みがあるので、小物などによっては仕立てにくさを感じる場合もあります。

麻布

麻布は、コングレス布よりも薄く仕立てがしやすいと感じます。

一方、織られ方によって、ひと目ごとの大きさも均一ではないので、コングレス布と比べると目の拾いにくさがあります。

また、生産時期で色合いも異なるので、同じ麻布が欲しいと思っても入手できない場合も多いです。しかし、そこが天然素材ならではの魅力的な特性と感じます。

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専門店

布を選ぶ上で大切なことは、実際に触れて感じることだと思います。

また、布の厚さや目の大きさ、質感などにより、菱刺しに向く布向かない布があるのですが、その点、専門店の布は刺しやすく、色や目の大きさなどのバリエーションも豊富です。

しかし、専門店で購入したくとも、近くに専門のお店がない場合もあるのではないでしょうか。実際、私自身そのことで布選びに苦労することも多いです。

そのような時、布専門のwebショップには大変助けられるのです。

ですが、店頭で買う場合と違い、直に触れて確認ができないことがwebショップで購入する場合の難しさでもあります。画面を通して布を確認するだけでは分からないことも多く、イメージと異なる場合も多いのです。

ですので、お店で直接確認できない場合は、見本帳やサンプルをお取り寄せされることをオススメします。サンプルを眺めているだけでもとても楽しく、その色彩風合いにも癒されますよ。

オススメのお店を2店ご紹介しますね。

 

刺し子 布
①:青森県弘前市のつきやのコングレス布(1cm角約 縦7目×横8目)
②:青森県弘前市のつきやの麻布(1cm角約 縦7目×横8目)
③:富山県の麻布館の麻布(1cm角約 縦11目×横13目)

つきやさんはネット販売はされておらず、直接お店に行けない場合は、お電話かFAXでの注文になります。オリジナル商品カタログ(布と糸の見本帳)を販売されていますが、時期によってお取り扱いされていないこともあるようです。つきやさんは布だけではなく、糸や針など、こぎん刺し(菱刺し)に関する材料が揃うお店です。

麻布館は麻布専門のwebショップです。布のサンプルを購入することができます。麻布は時期によって風合いも色味も少しずつ異なります。麻布館のサイトでも推奨されていますが、最新のサンプル品で布の感じをご確認されることをオススメします。

 

菱刺し
②のつきやさんの麻布に刺したものです。糸はログウッドで染めた2種類(8本取り)と桜染め(8本取り)のものを使用しています。

 

青森県刺し子
③の麻布館の布に刺したものです。糸はつきやさんの719番(10本取り)です。こちらは目が細かい布なので、糸を6本取りにして刺しています。

布選びのポイント

まずは、それぞれの特性を知り、コングレス布か麻布かを選んでみてください。

次に、布を選ぶ際の大きなポイントは、その色です。一般的に黒や藍などの暗めの色よりも、白や生成りなどの明るい色の布の方が目が拾いやすいと言われます。また、体感としましては、彩度の低めの色の方が目が疲れにくいと感じます。彩度のない白ならば、明るすぎる白よりも生成りなどの少し明度が低めの色の方が目が疲れにくいと感じます。

また、目の大きさ(1cm角の目の数)や縦と横に何目ずつ入っているのかも大切な要素です。目の大きさによって刺しやすさも異なりますし、縦長の布であるのか横長の布であるのかの違いにより、模様の現れ方、作品の雰囲気も異なります。

菱刺しはひと針ひと針長い時間をかけて制作してゆく手仕事です。延べにすると何針を刺すのでしょうか。ですので、布の重さや硬さも忘れてはいけない考慮すべき点です。針を持つ手と逆の手で布を抑えながら刺してゆくのですが、私の場合は針を持つ手ではなく、抑える手の方を痛めることが多いです。硬すぎて針が通りにくい布も大変疲れやすいと感じます。

様々な点を考え、目の拾いやすさで選ぶのなら、生成り色のコングレス布がよいかと思います。菱刺しを始めてすぐの頃は、目がはっきりしていて刺しやすいことから、コングレス布を使用する場合が多いです。

私の体感ですが、軽さを感じるのはコングレス布よりも麻布です。また、知る限りのことですが、コングレス布よりも麻布の方が色彩や質感、厚さなどのバリエーションが豊富であるように思います。

おわりに

菱刺しとこぎん刺しの違いについての記事でも触れましたが、昔は綿の入手が容易ではなく、唯一自給自足でできた麻布のみを使用して刺していました。その色彩も菱刺しでは浅葱色、こぎん刺しでは藍色と豊富ではありませんでした。

菱刺し
青森県伝統刺し子南部菱刺し。津軽こぎん刺しとの違い 青森県に伝わる刺し子技法には、南部菱刺しと津軽こぎん刺しがあります。菱刺しは知名度が低く、菱刺しもこぎん刺しと表される場合もあります...

現在は綿素材のコングレス布もありますし、色の種類も多く、選ぶ楽しみがあるということは大変ありがたいことなのだと思います。

布選びも出会いです。

刺しやすさなどは大切なことですが、実際、それだけではないですよね。その時の気持ち、好みの色、肌に触れた感触など、インスピレーションに依る部分も大きいのではないでしょうか。

実際、私は麻布に触れた瞬間からすっかりその魅力の虜となってしまい、布を選ぶ際のこだわりのひとつが「麻布であること」なのです。麻布の何とも言えない素朴な色合いや、使用してゆく時の流れと共に趣を増してゆくその個性にどうしようもなく引かれるのです。

感じ方はそれぞれ千差万別です。布をお手に取って、ご自身のお気に入りのひと品を探してみてくださいね。素敵な出会いがありますように。

お付き合いくださいましてありがとうございました。

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