こちらでは、新緑の季節に溢れる多様な緑色より着想を得て施した矢羽根(矢の羽)模様のご紹介をしました。今回は、そちらをピンクッションに仕立てた作品、また、矢の持つ意味や文様の種類について綴りたいと思います。
スポンサーリンク
矢の持つ意味
矢は射られると、真っすぐに進むことや、「的に当たる」という意味から、縁起柄とされています。
出典:写真AC
また、「魔を祓う」とされる飾り矢「破魔矢」も有名です。
破魔矢とは、主に、お正月や、男児の初節句や初正月、建物の新築の際に行われる上棟式などに飾る神具です。
スポンサーリンク
矢の文様
矢の文様では、矢絣・矢羽根が有名かと思います。
「矢絣」とは、矢羽を並べた文様をいいます。
矢絣とは、本来、絣という技法で織られた模様をいいましたが、現在はこの模様自体を矢絣というようです。矢の向きが一方向を向いたものや2列毎に反対方向を向いた模様がございます。
出典:写真AC
矢の向きが一方向を向いた模様です。
出典:写真AC
2列毎に反対方向を向いた模様です。
その他、矢の文様には、矢が並んだ「並矢」や、矢を散らした「乱れ矢」、五月の節句に、子供の無病息災を願って飾る武者飾りの囲いに矢を並べた様子を表した「矢襖」、矢が的を射る様子を表した「的矢」などがございます。
菱刺しでは、矢を先から眺めた様子を表した模様を「矢羽根」、横から眺めた様子を表した模様を「矢の羽」といいます。
ピンクッション
25番刺繍糸を8種類使用し、5本取りにして、地刺し模様である矢羽根(矢の羽)模様を施しました。
上から、オリンパス2015番、オリンパス247番、オリンパス2013番、Anchor267番、オリンパス2011番、オリンパス287番、Anchor843番、Anchor261番です。
布は、1cm角 縦約11目×横約11目の麻布を使用しています。
ピンクッションに仕立てたものがこちらです。
詰め物は羊毛を使用することにより、針が錆びない工夫をしております。
サイズは、縦約5cm×横約6.5cm、高さ約2~2.5cmです。
周りは同色の糸であるオリンパス2013番でかがりました。
色彩は、種々の緑色溢れる春から夏の季節の情景より着想を得て、8色の緑色を使用し、濃淡をつけて施しました。
針を刺した様子です。
お裁縫箱に入れた様子です。
サイズ的には、大きすぎもせず、小さすぎもせず、ちょうど良い大きさに仕上げることができたのではないかと思います。
緑色の植物と一緒に飾ってみました。
緑色は暖色でも寒色でもでもない中性色ですので、周りの様々な色彩と馴染みやすく、また、安心感や安らぎを与え、心身の疲れを癒す色とされています。
また、人の目に見える波長を可視光線といい、赤が最も波長が長く、次いで、橙、黄、緑、水色、青、紫の順に短くなってゆきます。
緑色は中間にある為、最も目に負担をかけない色なのです。
平和や調和、幸福、自然、回復など、緑色は多くの柔らかなイメージを連想させる色です。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
矢羽根は縁起の良い意味を持つ模様であり、緑色は穏やかな印象のある色です。
手芸は目を使う仕事ですので、目に優しい色がお側にありますとリラックスできますし、また、素敵な意味を持つ模様を近くに置くことで、それだけで楽しい気持ちになれるのではないでしょうか。
模様や色彩の持つ美しさを少しでも感じて頂けましたら嬉しいです。
お付き合いくださいましてありがとうございました。
スポンサーリンク
スポンサーリンク