菱刺し

青森刺し子南部菱刺しで綴る猫小物。猫が縁起が良いとされるわけ

南部菱刺しピンクッション
猫の優美な佇まいや、愛くるしい仕草、ゆったりと生きる姿は気持ちを和やかにしてくれます。しかし、それだけではなく、猫は縁起の良い動物でもあるのです。これまで制作した青森刺し子菱刺しを施した猫小物をご紹介しながら、猫が縁起が良いとされるわけや、言い伝えについて綴ります。

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人々の健康と財産を守った猫

昔、税は米で納められていたため、米はお金と同等の価値のある大切な財産でした。

しかし、米はネズミの食害にあいやすいものです。

また、ネズミの媒介する菌による病気の拡散に、人々は苦しんでいました。

猫はネズミを捕まえますよね。よって、結果的に、猫が人々の財産と健康を守ることへと繋がり、縁起の良い動物とされたのです。

そして、猫は暗闇でも目が利くことから、「魔除け」や「幸運の象徴」といわれています。

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色や種類による言い伝え

猫は、色や種類によっても、様々な言いえがあるようです。

アルビニズムやオッドアイの猫は、その美しさや神秘性、珍しさから、縁起の良い猫といわれます。

オッドアイの色の組み合わせは何通りかありますが、中でも、一方の目が黄色で、他方の目が黄味の無い淡銀灰色あるいは淡青色の場合は、「金目銀目」と呼ばれ、珍しく貴重な存在とされてきました。

また、三毛猫は「繁盛猫」といわれます。一般的に招き猫は三毛猫ですよね。

三毛猫の中でもオスの生まれる確率は3万分の1程であり、その珍しさから、三毛猫のオスは縁起の良い猫とされています。

その他諸説あるようですが、しっぽが途中で曲がるカギしっぽの猫や、顔の毛色が鼻筋を境に左右に分かれ、八の字に見えるハチワレ猫、黒猫は縁起の良い猫といわれます。

カギしっぽの猫は、カギの形から「幸運をひっかけてくれる」「幸せの扉を開ける」、また、蔵の錠前の形に似ていることから「財産を守ってくれる」といわれます。

ハチワレ猫は「末広がり」から、縁起が良いとされます。

黒猫は、暗闇で身体は見えなくとも目が見えることから、幸運や商売繁盛の象徴とされ、黒い招き猫は魔除け厄除けの意味を持つようです。

菱刺しの猫小物

菱刺し地刺し模様と合わせて制作した猫の小物をいくつかご紹介したいと思います。

サシュ

菱刺し猫
ベージュの麻布に紅花染めの糸を使用し、「竹の節」を施しました。

模様を刺した布を横に使うことで、模様にも少し異なる雰囲気が生まれました。

お顔は布用の絵の具で描きました。

中に入れている白檀が、心地よく香ります。

 

菱刺し猫
カップに入れてみました。

上からカメラを向けると、少し上目遣いな感じに撮れました。

 

菱刺し猫
緑色の麻布に、葛染めの糸で地刺し模様を施しました。

純真そうで素朴な、どこか悟ったような瞳がお気に入りです。

 

菱刺し猫
後ろ姿です。

首のリボンは、葛染めの糸を編んで制作しました。

 

菱刺し猫
赤茶系の麻布にケヤキ染めの糸で施しました。

糸の自然な茶色は草木染めならではですよね。

 

菱刺し猫
中に入れた白檀が重りとなり、立たせることもできました。

猫らしい気ままそうな表情がなんとも可愛らしいです。

 

菱刺し猫
淡い青系の麻布に2種類のりんご染めの糸で地刺し模様を施しました。

どこか物思いにふけるような瞳をしています。

 

菱刺し猫
後ろ姿です。

花柄の布を合わせてみました。首のリボンはりんご染めの糸を編んで制作しています。

 

菱刺し猫
色は、春夏秋冬のイメージで考えました。

右の子から、春、秋、冬、夏です。

 

菱刺し猫
こちらは、立つ形のサシュになります。

香り袋の入れ替えができる型を考え、生まれたのがこちらです。

赤茶系の麻布に、2種類のログウッド染めと、桜染めの糸で菱模様を施しました。

この子は、なんとも利発そうなお顔となりました。

 

菱刺し猫
背中のリボンは桜染めの糸を編んで制作しました。

リボンをほどくと香り袋を取り出すことができます。

お財布

菱刺し財布
地刺し模様を施した、猫型のお財布です。

 

菱刺し財布
緑色の麻布に、ログウッドで染めた糸で地刺し模様を施しました。

三つ折りとなっています。

ピンクッション

菱刺し猫ピンクッション
菱刺しで猫を描いたピンクッションです。

サイズは、約 縦9.5cm×横7cm、高さ 約2.8cm

瞳には、貼る型のビーズ2種類(クリスタルメタリックブルーとクリスタルタバック)を使用しました。

クリスタルタバックの、光の当たり具合や角度によって緑系にも黄系にも見える様子が美しく、こちらのお色を選びました。

瞳がキラキラと輝きます。

 

菱刺し猫
使用した布は、1cm角約 縦15目×約12目の麻布です。

施した模様は、「亀甲」と「」です。

「亀甲」で猫の模様を表現しました。連続模様「亀甲」を部分的に用いた「破れ亀甲」のイメージです。

使用糸は、COSMOの25番刺繍糸の653番、652番、185番です。

六角形の幾何学模様である「亀甲」は、亀の甲羅に似ていたことからこの名前がつけられました。

亀は「長寿の象徴」です。また、亀の甲羅は崩れない六角形であることから、「和を持つ」という意味も持ち、亀の甲羅のように「かたく身を守る」という意味もあります。

背景には菱模様を施しました。

糸は、COSMOの25番刺繍糸の766番、765番、764番、763番、2762番、762番です。

菱形は一年草の水草であるヒシの葉、または実が由来です。

ヒシは繁殖力や生命力が強い為、菱形には「子孫繁栄」や「無病息災」の願いが込められています。また、菱形は魔除けや厄除けの意味を持ちます。

コーチングステッチの芯の糸にはログウッド染め糸を、止める糸にはラメ糸を使用しています。

 

猫 ピンクッション
裏面です。

裏面には、猫模様が織り込まれた綿生地を使用しました。

 

菱刺し猫ピンクッション
針を刺した様子です。

色違いの猫模様の生地で制作したハサミカバーを添えてみました。

 

菱刺し猫ピンクッション
お裁縫箱に入れた様子です。

 

菱刺しピンクッション
花柄の生地と合わせると、お花畑にいるイメージになりました。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

猫のゆったりとした生き方や柔らかでなめらかな所作に癒しを覚え、ビジュアルもまた可愛らしくお洒落なので、もともと猫雑貨を集めることが好きでした。

菱刺し地刺し模様を施した猫の小物を自分の手でも制作できればと思い、少しずつ集めたものを今回ご紹介しました。

幸運の象徴とされる猫に、縁起柄を合わせることで、より深い意味を持たせることができたように思います。

猫が縁起の良い動物といわれるわけや言い伝えを知ると、また違う猫の魅力が見えてくるのではないでしょうか。

菱刺しの猫小物から、少しでも和やかな気持ちを感じていただけましたら嬉しいです。

お付き合いくださいましてありがとうございました。

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