菱刺し

青森伝統刺し子南部菱刺し。青海波文様の意味と由来、種類について

地刺し模様
菱の枠のつかない模様を連ねて刺す刺し方を「地刺し」といい、中には日本伝統文様が刺されたものもあります。今回はオリジナルの「青海波」模様、そして、青海波の意味や由来、種類について綴りたいと思います。

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青海波の意味や由来

青海波写真ACからの写真です。

青海波は古代のペルシャが発祥といわれています。シルクロードを通り、中国経て、飛鳥時代に日本へ伝えられました。

平安時代に書かれた源氏物語の中にも、光源氏が雅楽「青海波」の舞を舞う場面があります。

青海波模様の無限に広がる波に、永遠の幸せや平穏な暮らしへの願いが込められています。また、海は水ですので、厄を水に流し清めるという意味も持ちます。

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さまざまな青海波

江戸時代には、様々な種類の青海波が生まれました。

破れ青海波文

破れ青海波文写真ACからの写真です。

青海波のところどころに破れ目が作られた文様です。

菊青海波文

菊青海波写真ACからの写真です。

菊の花を青海波に見立てた文様です。

菱青海波

菱青海波no-liさんによる写真ACからの写真です。

青海波の扇型の部分が菱形になった文様です。

オリジナル模様

地刺しの中にも日本伝統文様を施す模様がありますが、青海波模様は知る限りはありません。

ある時、刺繍家である遠藤佐絵子さんの日本の伝統文様の図案帖と出会い、より伝統文様への関心が深まり、是非、菱刺しでも刺せる青海波模様を考えてみたいと思いました。

最後におすすめの2冊をご紹介していますので、是非ご覧ください。

単純に奇数も2倍にすると偶数になりますので、まずは遠藤さんの本を参考に、1目は2目に、2目は4目に・・・、というように考えてみました。
偶数目を拾って刺してゆくことで横長の菱形ができあがることが菱刺しの特徴のひとつですが、正しく菱刺しらしい横長の青海波ができあがりました。しかし、それでは青海波としは、やや横長すぎてしまいました。

次に、横長にしすぎないことに注意して考えてみました。
菱刺しでは偶数目を拾って刺し、基本的にあける目数も偶数目の模様が多いのですが、中には奇数目をあけるものもあります。

 

図案
例えばこちらです。水色の部分は奇数目である3目や7目があけられていますよね。

また、目数の関係などにより、波が続いてゆく表現がなかなか難しいのですが、波が途切れてしまっては、無限に続く波に込める「永遠の幸せ」という素晴らしい意味がなくなってしまいます。

 

菱青海波
そして、出来上がった青海波模様がこちらです。

オリムパスの100番、310番、352番、342番、354番、316番の6色を使用し、5本取りにして刺しました。

 

菱刺しピンクッション
ピンクッションに仕立てたものがこちらです。

おすすめ本

菱刺しの図案ではなくクロスステッチの図案帖ですが、大変素敵な本ですのでご紹介します。

刺繍家である遠藤佐絵子さんの本です。
クロスステッチの図案帖ですが、美しい模様や色彩は眺めているだけで気持ちがいいです。文様の意味や由来なども記されており、内容も深いので、手芸本としてだけではなく、伝統文様を楽しみたい方にもおすすめです。


クロスステッチで楽しむ和の模様
青海波はこちらにございます。

 


和のクロスステッチ図案帖 日本の粋なデザイン
こちらを開いてまず惹かれたものは「矢羽根の縞」という矢羽根と縦縞を組み合わせた文様でした。

是非一度、お手に取って頂きたい図案帖です。

おわりに

青海波について綴りましたが、いかがでしたでしょうか。

菱刺しには偶数目を拾うという定義があり、また、菱の枠に囲まれた模様でしたら、限られた目数の中で模様を表現しなければなりません。

梅の花や雉の足、昆布、猫の目、馬の目など、菱刺しには動植物を模した模様が多くございますが、そのようなきまりの中で模様が考え出された歴史や、人々の感性に改めて感動します。

次回、青海波模様を施したピンクッションについてお伝えしたいと思います。よろしければご覧くださいませ。

お付き合いくださいましてありがとうございました。

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