菱刺しとは青森県南部地方に伝わる刺し子技法であり、偶数目を拾って刺してゆきます。こちらでは日本伝統文様である青海波のオリジナル模様のご紹介をしましたが、今回はそちらを仕立てた青海波ピンクッションについて綴ります。
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青海波ピンクッション
菱の枠のつかない模様を連ねて刺す刺し方を地刺しといい、地刺し模様の中には日本伝統文様が施されたものもあります。
しかし、菱刺し地刺しの中には青海波模様はありません。そこで、是非菱刺しでも青海波模様を刺してみたいと思い、偶数目を拾う菱刺し風にアレンジした模様を考えてみたのです。
青海波は「永遠の幸せ」や「平穏な暮らし」への願いが込められた模様ですが、そのような願い、そして、潮騒の音や香りも紡げたら、という想いで刺し連ねました。
仕立てたものがこちらです。
布は、1cm角縦約15目×横約12目の麻布を使用し、糸はオリムパスの25番刺繍糸を6色(100番、310番、352番、342番、354番、316番)使用し、白色から水色、濃い青へとグラデーションをかけました。
糸は5本取りにしています。
詰め物は羊毛を使用することにより、針が錆びない工夫をしました。
サイズは、縦約7cm×横約7cm、高さ約2.5cm~3cmです。
周りは同色の糸(316番)でかがりました。全体的に薄めの色が多いので、かがりに濃いめの色を使用することで、ポイントとなったのではないかと思います。
針を刺した様子です。
インテリア風に飾ってみました。
お裁縫箱に入れた様子です。
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おわりに
青海波アレンジ模様の菱刺しピンクッションについて綴りましたが、いかがでしたでしょうか。
色彩や模様の雰囲気などは、構想を立て思い描いていても、実際に刺してみてこそ知ることのできる味わいがあります。ですので、菱刺し地刺しをひと針ひと針紡いでゆき、模様が出来上がってゆく道筋はいつも心が躍る想いでおります。そして、作品が形となってゆく仕立ての流れもまた、わくわく胸膨らむ時間なのです。
菱刺しの始まりは、麻布の保温補強が目的でしたが、現在はピンクッションやポーチ、小引き出し、眼鏡ケースなどにも施されるようになりました。それは、菱刺しが実用性だけではなく芸術性も備えていたからこそなのだと思います。
伝えられてきた菱刺し作品を見習いながら、そして、時代に沿った新しさも取り入れながら、心に響く作品を制作してゆけたらと思っております。
お付き合いくださいましてありがとうございました。
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