菱刺し

青森伝統刺し子南部菱刺し。オリジナルスマホケース作り方

青森刺し子スマホケース
菱刺しのスマホケースを制作中です。こちらでは構想を立て、図案を写し、バックステッチを行う過程について、また、こちらでは菱刺しと地刺しを施す過程について綴っています。今回は個人的に注意しているポイントを中心に、スマホケース仕立ての流れを簡単に綴りたいと思います。

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スマホケースに仕立ててゆく

型紙
縦18cm、横10cmのスマホケースに仕立ててゆきたいと思います。

 

菱刺し
幹の下に施した地刺しは、表面から裏面まで続きます。大地が長く広がるイメージです。

南部菱刺しスマホケース
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持ち手を作る

スマホケース持ち手
三つ編みをした糸を3本制作し、それらを更に三つ編みにして持ち手を作ります。

使用した糸は、茶系からベージュ、ピンクというようにグラデーションのかかった8本取りの刺し子糸です。グラデーション糸を三つ編みにしますと、種々の色がランダムに現れ、なんとも美しいです。

 

刺し子スマホケース持ち手
初めに約70cmの長さを用意し、三つ編みを繰り返し、約36cmの持ち手が完成しました。

糸処理

本来菱刺しの糸処理は、表面の糸の部分の、裏面の布の目をすくうようして糸を通し、表から見えないように、処理してゆきます。

菱刺し矢の羽
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菱刺し
しかし、裏面に芯を貼り、端をミシンで縫う場合は、糸処理は行わず、端に糸を並べて表面に出しておいてもよいです。

また、始めに布のほつれを防ぐ為に布の端をかがりましたが、かがった糸はこの時点で抜いておくと仕立てがしやすいです。

菱刺しスマホケース
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芯を貼る

菱刺しを施した表布の他に裏布も用意します。強度を増す意味や形を整える意味で、表布と裏布に芯を貼りました。表布、裏布、芯2枚と、計4枚重なることになるので、芯は薄手のものを使用しました。

端を縫う

まず、表布の端を縫います。表面(菱刺しを施した面)が内側になるように折り、中表にして端を縫い合わせます。

端の模様がきちんと合わさるように、しっかりとしつけ糸でしつけをかけると安心です。

 

菱刺し
端に並べて出しておいた糸の上から芯を貼り、しっかりミシンで縫うと、糸が抜ける心配はないかと思います。端を縫い合わせたら、糸を短く切っておくと糸の絡まりを防ぐことができ、仕立てがしやすいと思います。しつけ糸も抜いておいてください。

裏布も中表にして縫いますが、この時、裏布は表布よりも本当に少し内側を縫い、心持ち小さくすると、表布と裏布を重ねる時に重ねやすいです。

表布を裏返す

表布を裏返しますが、裏返した時に綺麗な形になるように、角や余分な布をカットします。

裏布の角や余分な布も切っておいてください。

 

南部菱刺し
きちんと模様を揃えて縫えているかを確認します。

 

青森伝統刺し子
表面と裏面です。

表布に持ち手を、裏布にスナップボタンをつける

南部菱刺し
まず、仮止めや補強の意味で、表布の上の縫い代部分に持ち手をつけます。ミシンで縫うとしっかりとして安心です。

持ち手の先はほつれ止めで止めておくと安心です。私はホツレーヌを使用しています。程よいさらさら具合で大変使いやすいです。少々乾きにくく、塗った部分がかたくなりやすいのですが、見えない部分に使用するには問題ないかと思います。

また、裏布にボタンホールステッチでスナップボタンをつけます。スナップボタンの向きは、凸がかぶさる上の方で凹が下になります。

表布と裏布を重ねる

南部菱刺し
偏りやかさばりを防ぐことができるので、表布と裏布の縫い代部分が逆になるように、重ねるようにしています。

まつり縫い

菱刺し
表布と裏布を重ね、まつってとめてゆきます。この時、表布の色に近い生成りの糸を使用し、裏布の表面に糸が出ないように心を配ります。

また、持ち手の部分は意識して強めにしっかりと縫うように気を付けています。

今回は、上にポイントとなる色が欲しかったので、表布の上から裏布を少し出して制作しました。

落とし縫い

まつり縫いを終えた時点では、表布と裏布は離れた状態です。

今回は上に裏布を出して制作したので、しっかりと安定させる為に、際の部分を落とし縫いでとめました。落とし縫いには、裏布に近い茶系の糸を使用しました。

結果、持ち手の部分は合計で3回縫わさったことになるので、補強にもなったかと思います。

完成

刺し子スマホケース
完成しました。表面になります。

 

刺し子スマホケース
裏面になります。インテリアとして飾っても一興かもしれません。

アイロンをかける際は、スマホケースと同じくらいの大きさの厚紙を中に入れると形が整いやすいです。上から布をかぶせ、柔らかくアイロンをかけてくださいね。

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おわりに

菱刺しで絵を描いたオリジナルスマホケースについて綴りましたがいかがでしたでしょうか。

菱刺しを施すことで、布の補強にもなりますし、より独創性も高まります。実用性と芸術的要素を兼ね備えた部分が菱刺しの大きな個性であり魅力であると思います。

今回は綿素材の刺し子糸を編み、持ち手を制作しましたが、持ち手にレザーなどの他素材を使用してもよいですし、取り外し可能な作りにすることもできます。布も綿素材のものや正絹と組み合わせてもひと味違う趣の作品に仕上がります。

また、今回は表布の上から裏布を少し出して制作しましたが、それらも自由ですし、スナップボタンではなくマグネットボタンを使用したり、ボタンループを制作しても、雰囲気が変わります。

 

菱刺しスマホケース
例えば、こちらはふたをつけ、綿素材の布と合わせて制作したものです。

菱刺しの部分は、薄い青系の麻布に、藍染め、藍+ススキ染め、白色の3種類の糸で刺していますが、横糸に沿って菱刺しを施した布を、仕立ての段階で縦に使うことで、また印象ががらりと変わります。

皆さまも是非、世界にひとつだけの心のこもったオリジナルスマホケースを制作してみてくださいね。

お付き合いくださいましてありがとうございました。

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