菱刺し

【布箱】伝統刺し子南部菱刺し。木を描き布箱に納めたピンクッション

南部菱刺しピンクッション
南部菱刺しとは、青森県南部地方に伝わる刺し子技法です。菱刺しの模様には、菱の枠に囲まれた菱刺し模様や、枠のつかない模様を連ねた地刺し模様がございます。糸などで描いた線の中に、菱刺し模様や地刺し模様を組み合わせて施しますと、菱刺しで絵を表現することもできます。菱刺しで木を描き、布箱に入れた、箱庭のようなイメージで制作したピンクッションのご紹介をします。

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菱刺しで木を描く

南部菱刺し
1cm角縦約13目×横約15目の麻布に、11種類の25番刺繍糸で施しました。

Anchorの826番、Anchorの267番、Anchorの255番、Anchorの843番、Anchorの261番、COSMOの185番、OLYMPUSの753番、COSMOの2186番、COSMOの676、Anchorの905番、Anchorの371番です。

コーチングステッチの芯の糸は待ち宵草で染められた糸を、止める糸にはラメ糸を使用しています。

緑色のグラデーション部分と右下部分の菱模様は逆さ模様となっています。

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ピンクション

南部菱刺し木のピンクッション
布箱に納め、箱の中に表現する小さなお庭の「箱庭」や類する「盆栽」のようなイメージで制作しました。

布箱は2mmの厚紙と土佐つむぎで制作しました。

布箱のはじまりは諸説あるようですが、お茶の茶葉を入れるための茶箱や、蚕や繭を入れて運ぶための布箱など、いずれも品質を保つために考案された紙箱がはじまりと言われます。

それだけ、紙と布で制作した箱にはならではのやわらかさ、やさしさがあるように感じます。

 

南部菱刺し木のピンクッション
土佐つむぎは高知県の民芸布です。

本来「紬」は絹糸を用いますが、土佐つむぎは木綿糸で織られます。

何種類かの染料を合わせて作られる深く渋い色合いが特徴ですが、拘りの染料を揃えることが難しくなったことや、後継者不足により、近年生産中止となり、現在では「幻の土佐つむぎ」といわれます。

春に眺めた、耕したての黒い土に映える植物の緑色の美しさが印象に残っており、土佐つむぎは黒に近い色を用いました。

 

南部菱刺し木のピンクッション
布箱の前側は他の三辺よりも低くなっており、中ほどまで木の模様がつづきます。

 

南部菱刺し木のピンクッション
布箱のサイズは、縦約5.2cm(短い辺は約4.2cm)×横約9.5cmです。

ピンクッション部分のサイズは、縦約4.5cm×横約8.8cmです。

布箱の高さは、約3.8cm(前側は約2.4cm)です。

 

南部菱刺し木のピンクッション
ピンクッションの上の部分は布箱よりも少し高めになっており、約4.5cmです。

 

南部菱刺し木のピンクッション
布箱の底の部分にも土佐つむぎを用いています。

 

南部菱刺し木のピンクッション
様々な角度より針を刺すことができます。

詰め物には羊毛を使用し、針が錆びない工夫をしています。

植物や手芸雑貨を添えて

生活を彩り寄り添ってくれる植物のような優しさを想いながら作品を制作しましたので、様々な場面をイメージしながら植物や手芸雑貨を添えてみました。

 

南部菱刺し木のピンクッション
グリーンネックレスのカーテンからのぞくはさみの銀色が美しいです。

 

南部菱刺し木のピンクッション
バインシュガーを添えて。糸が水玉模様のようで可愛らしいです。

 

南部菱刺し木のピンクッション
ハートカズラと糸でリースを作ってみました。

 

南部菱刺し木のピンクッション
木の形のインテリアにジャスミンをからませてみました。白色に引き立つ緑色が清らかさを感じさせます。澄んだ雰囲気となりました。

 

南部菱刺し木のピンクッション
四色の花瓶にアイビーとオレガノを生けてみました。

菱刺しで描いた木のピンクッション、癒し優しく寄り添うひと品となりますように。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

箱庭や盆栽のような世界をピンクッションの上でも表現したく、布箱に詰め込んだ木の作品を制作しました。

色合いは、春の萌黄色や夏へ向かうにつれて次第に深くなる緑色、耕したばかりの畑の土の黒色や雨で潤んだ土の黒色など、様々な時の色を思い描いたものです。

布箱に納めると、箱の中で、様々な情景が流れてゆくように感じられました。

植物や手芸雑貨を添えて撮影したお写真も楽しんでいただけますと嬉しいです。

お付き合いくださいましてありがとうございました。

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