菱刺しでは菱の枠のついたものを「型コ」と呼びます。こちらでは矢の羽を例に、型コひと模様の刺し方についてお伝えしましたが、今回は型コを斜め方向に刺し連ねる刺し方について綴ってみたいと思います。「梅の花」と「猫の目」の連続模様です。図案もございますのでご一緒に刺してみませんか。
尚、こちらもご参考頂ければと思います。
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梅の花と猫の目の連続菱模様
図案
「梅の花」と「猫の目」の図案になります。
「梅の花」は菱刺しの代表的な模様であり、大変人気の高い模様です。また、「猫の目」は「ねこの”まなぐ”」と読みます。青森の方言で目のことを”まなぐ”と言うのです。いかがでしょう。猫の目に見えますでしょうか?
さて、菱模様をひとつひとつ刺してゆく場合は、糸を変えて刺す場合も多いのですが、今回のように斜め方向に連続して刺し連ねる場合は、続けて同じ糸で刺してゆくことになります。
今回は、「梅の花」と「猫の目」の見分けをつける為に、それぞれ図案の色を変えましたが、糸は同じ種類の糸で刺します。
刺し方
矢の羽模様の斜め隣りに梅の花の模様を刺し連ねてみたいと思います。
今回は刈安で染めた8本取りの糸を使用して刺してゆきたいと思います。
刺し始まりは、表面から針を通し、糸の端を少し表面に出しておきます。このようにすることで、裏面で糸が絡まることを防ぐことができます。刺し終わった後に糸処理をしますが、その時まで糸の端は出したままにしておいてくださいね。
菱模様(菱Aとします。今回は矢の羽模様のことです)の斜め隣りに菱模様(菱Bとします。今回は梅の花のことです)を連ねる場合は、菱Bの1段目は、菱Aの中央の段の一番先の目の真下の目から始まることになります。
今回はアシガイを入れて全25段の模様なので、矢の羽の13段目(中央の段)の一番先の目の真下の目から、梅の花の1段目が始まることになります。
刺す方向に決まりはございませんが、今回は1段目を左から右方向へ向かって刺します。2段目は右から左へ、3段目は左から右へ、4段目は右から左へ・・・、と刺し連ねてゆくことになります。
裏面から表面に針を通し、2目拾い、表面から裏面に向かい針を通します。糸の撚りに心を配りながら、布を引っ張りすぎないように優しく糸を引いてくださいね。
1段目が刺し終わったら、2目ずらして1段さがります。2段目は6目拾い、また2目ずらして1段さがります。3段目は4目拾って表面から裏面に針を通します。
段をうつる時は、布が縮まらないように、折り返しの部分の糸は余裕を持つ感覚で、柔らかく引くことがポイントです。
7段目から梅の花の模様が現れます。
梅の花が13段目まで刺し終わりました。全25段の模様なので、半分刺し終わったことになります。
梅の花の14段目の一番先の目より2目ずれた目から、猫の目の1段目も始まります。
菱模様を連続して刺してゆく時のポイントはこのあたりかと思います。
1段目を左から右へ向かって刺し、2段目を右から左へ、3段目を左から右へ・・・、と繰り返した場合、13段目は左から右へ向かって刺すことになります。
梅の花の13段目(中央の段)から2目ずらして1段さがり、右から左に、まずは猫の目の1段目を刺してから、2目ずらして、梅の花の14段目を刺すことになります。
猫の目の1段目です。
猫の目の1段目を刺して、2目ずらして、次は梅の花の14段目を刺してゆきます。
梅の花の15段目、猫の目の2段目を刺し終わりました。
梅の花が18段目まで刺し終わりました。猫の目は5段目から模様が現れます。
猫の目が12段目まで刺し終わった時点で、梅の花は全25段を刺し終えたことになります。梅の花の完成です。あとは猫の目を刺してゆきましょう。
猫の目の14段目を刺してゆきます。13段目まで刺し終わったら、そのまま1段さがり、2目ずらして裏面から表面に向かい針を通します。
14段目は左から右に刺すので、15段目は右から左へ、16段目は左から右へ・・・、と刺し連ねてゆくことになります。
途中で糸が足りなくなった場合は糸かえをしてください。糸かえについてはこちらでお伝えしておりますので、ご参考になさってくださいね。
猫の目も完成するとこのようになります。
刺し終わりも刺し始めと同じように、糸の端を表面に出しておいてくださいね。
裏面はこのようになります。表面とはまた異なる美しい模様が表現されています。菱刺しでは、裏面の模様もとても大切にします。裏面の模様も楽しんでみてくださいね。
最後に糸処理を行いますが、菱刺しでは玉止めはしません。処理をした糸が表面から見えないように、表面の糸が刺されている部分の裏面の布の目をすくうようして糸を通し、処理をしてゆきます。糸処理については、こちらをご参考になさってください。
梅の花と猫の目の完成です。
矢の羽、梅の花、猫の目、どの模様もそれぞれの美しさがございますね。
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おわりに
いかがでしたでしょうか。
一度に異なる2種類の模様について考えながら刺しますので、初めの頃は少々難しさを感じられるかもしれません。実際、このように連続して刺す刺し方は、いくらか慣れてから取り組む場合が多いです。
けれども、ひと模様ひと模様刺してゆくよりも布が縮まりにくく、糸処理もしやすいので、刺し慣れますと大変刺しやすく感じられます。
個人的には、菱刺しは知識よりも感覚で覚える部分が多いと感じます。模様を楽しみながら、色彩に癒されながら、菱刺しの風情を感じてみてくださいね。
説明の表現が難しく、分かりにくさを感じられる部分も多いかと思いますが、お伝えできていれば嬉しいです。最後までご覧くださいましてありがとうございました。
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