自然界を構成する主要な色のひとつである緑色は、森林の空気に触れている時のような癒しを感じさせる色です。今回は緑色を詰め込んだ、南部菱刺しの地刺し模様「亀甲」のピンクッションをご紹介し、緑色が安定や安心、くつろぎを与える色とされるわけについて綴りたいと思います。
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緑で表した「亀甲」模様
「癒しの色」とされる緑色を詰め込み、菱刺しの地刺し模様「亀甲」を施しました。
左右が反転模様となっています。
布は1cm角 縦約11目×横約11目の麻布を使用し、糸は25番刺繍糸6種類を使用しています。
Anchor267、オリムパス2011、Anchor0843、Anchor261、オリムパス287、COSMO682です。
「亀甲」は、亀の甲羅が崩れない六角形であることから、「和を持つ」という意味や、亀の甲羅のように「かたく身を守る」という意味を持つ模様です。
「鶴は千年、亀は万年」という諺もあるように、亀は「長寿の象徴」です。また、悪運を退け、金運や仕事運を高めるといわれます。

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目に優しい緑色
電場と磁場がお互いに作用し合いながら空間を波のように伝わるエネルギーを電磁波といいます。
電磁波には人の目に見える可視光線と、人の目には見えない不可視光線とがあり、種類によって、それぞれ異なる波長を持っています。
不可視光線には、放射線の一種であるガンマ線やエックス線、紫外線や赤外線などの太陽光線、パソコンや携帯電話、テレビ、ラジオの電波などがございます。
可視光線を色で表すと、380nmの短波長の紫、藍、青、緑、黄、橙、780nmの長波長の赤となり、人間はこの可視光域の電磁波のみを色として捉えることができるわけです。
可視光線の7色の中で、真ん中に位置する色が緑色であり、最も目に負担をかけずに見える、目に優しい色と言えるのです。
中間色としての緑色
こちらは色相環です。
色相環とは、虹の七色である赤・橙・黄・緑・青・藍・紫を並べ、両端を混色した赤紫で繫いで色の環を作ったものです。
この中の赤、赤みの橙、黄みの橙、黄が暖色系、青緑、緑みの青、青、青紫が寒色系、
黄緑、緑、紫、赤紫が中性色となります。
暖色は暖かさを感じさせ、身体を興奮状態にします。
寒色は涼しさを感じさせ、身体を鎮静状態にします。
この暖色と寒色から得られる感覚は「刺激」です。
対して、中性色は温度の感覚がなく、「刺激のない色」といえます。
中性色である緑は安全で安らぎを感じさせる色なのです。
緊張を和らげる緑色
光や色によって変化する筋肉の緊張度を数値化したものをライト・トーナス値といいます。
ベージュやパステルカラーは23と最も弛緩度が高く、リラックスした状態といえます。
青は24、緑が28、黄が30、橙35、赤42となります。
ベージュやパステルカラー、青、緑は筋肉を弛緩させ、黄、橙、赤は筋肉を緊張させます。
緑よりも青が筋肉の緊張度が低い色ですが、涼しさを感じさせる色でもあるので、中性色である緑は、より刺激のない安心感のある色といえるのではないでしょうか。
緑色を詰め込んだピンクッション
ピンクッションに仕立てたものがこちらです。
サイズは縦約5.8cm×横約8cm×高さ約2.6cmです。
周りは同色の糸であるAnchorの267番でかがりました。
針を刺した様子です。
お裁縫箱に入れた様子です。
緑の植物を添えて、より安らかな雰囲気を表現してみました。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
自然界の中の主要な色のひとつであり、食物に多く存在する色でもある緑は、生命を繫いできた色といえるのではないでしょうか。
安心やくつろぎを感じさせる緑色を、私たちは潜在的に求めているのかもしれませんね。
今回は緑色のピンクッションをご紹介しましたが、針を持ち、作品と向き合う時間は、意識が内面へ向かう、より考えの深まる時間であると感じています。
そのようなひと時に、癒しの緑色が側にいてくれることで、心の緊張がほぐれるように思います。
手芸をされる際に、そして、日常に、緑色を取り入れ、より穏やかな時を過ごされてみてはいかがでしょうか。
お付き合いくださいましてありがとうございました。
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