菱刺し

青森県津軽のりんご染め刺し子糸を使用した、南部菱刺し猫のサシェ

菱刺しりんご染猫のサシュ
草木染めの一種であるりんご染めは、ピンクや黄、緑、グレーなど、染められる色が多彩であることが魅力のひとつです。今回は青森県津軽地方のりんご農家さんによって染められたりんご染め刺し子糸のご紹介をします。りんご染め糸で菱模様を施した南部菱刺し猫のサシェについて綴っておりますので、りんご染めの美しい色合いや猫の表情から、和やかな気持ちになっていただけましたら嬉しいです。

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りんご染め

りんご染めは、樹皮や枝、葉、花、りんごそのものなどを染料に使用して染める草木染めの一種です。

染料に用いる部位や組み合わせる媒染剤、りんごの品種、季節などの違いにより、様々な色が表現されます。

 

りんご染め
こちらは、日本有数のりんごの産地である青森県津軽地方のりんご農家の方が染められたりんご染めの刺し子糸です。

左から、なでしこ色、薄緑色、チャコールグレー、黄色、橙色です。

りんごというひとつの植物から、これほど種々の色が表現されるのです。実に神秘的ですよね。

りんご染めの多彩な色合いに出会い、より草木染めの繊細な美しさや奥深さを感じました。

津軽りんごの彩りを是非ご覧になってみてくださいね。

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りんご染め猫のサシェ

豊かな色彩を持つりんご染めの糸を贅沢に使用し、色合いを楽しめる作品を制作したいと思い、立つ猫のサシェを制作しました。

 

りんご染め
こちらは、ベージュの麻布に、なでしこ色、薄緑色、チャコールグレーの3種類のりんご染め刺し子糸を使用して菱模様を刺し連ねたものです。

 

りんご染め
こちらは、赤茶色の麻布に、橙色、黄緑、黄土色の3種類のりんご染め刺し子糸を使用して菱模様を刺し連ねたものです。

 

菱刺しりんご染猫のサシュ
仕立てたものがこちらです。

お顔は布用絵の具で描きました。

 

菱刺しりんご染猫のサシュ
背側です。

紐は刺し子糸を編んで制作しました。紐が長く流れる様子が可愛らしいので、長めに制作しました。

紐をほどいて、香り袋を入れ替えることができます。

なでしこ色、薄緑色、チャコールグレーの組み合わせが、どこか春を感じさせる色合いでしたので、背の紐には桜染めの糸を使用し、春を詰め込んだ雰囲気にしました。

 

菱刺しりんご染猫のサシュ
あと一匹の子です。

多少の違いはございますが、ベージュの麻布と赤茶色の麻布の目の大きさは、おおよそ同じくらいなのですが、こちらの子の方が模様が細かく感じられます。(目が細かい布の方が模様が細かく表現されます。)

ベージュの麻布に施したものは、全体的に淡い色彩であることから膨張して感じられ、こちらは、麻布の色が濃く、菱のひとつひとつがはっきりしていることから、より模様が細かく感じられるのかもしれません。

 

菱刺しりんご染猫のサシュ
背側です。

背中の紐は、黄色のりんご染め糸を編んで制作しました。こちらの子は、紐が少し短めです。赤茶色の麻布に黄色が映えますね。

こちらの子は、全てりんご染めで揃えました。

 

菱刺しりんご染猫のサシュ
ちりめんの七宝鞠と紙風船を添えて、和の雰囲気で撮影してみました。

七宝鞠と紙風船の色合いが、どちらの猫ちゃんにもよく合うように思います。

 

菱刺しりんご染猫のサシュ
二段のお家で撮影しました。

菱刺しは、和の雰囲気、洋の雰囲気、どちらにも不思議と溶け込むように感じます。

 

菱刺しりんご染猫のサシュ
りんご染めということで、りんごを添えてみました。

りんごは神秘的な物語りをいくつか持ちますが、りんごを添えると、どこか神秘性を纏ったように感じられました。

 

菱刺しりんご染猫のサシュ
ラナンキュラスやスイートピー、アリウムコワニーの花々を添え、以前に制作した猫ちゃんも加えた3匹で撮影してみました。

こちらで加えた子は、ログウッド2種と桜染め糸で菱模様を施し、花模様の布を合わせています。直射日光は避けていましたが、数年の年月の経過により、随分と退色が進みました。けれども、この色褪せてゆく様がまた、草木染めの美しさのひとつと感じています。年月の流れのみが作り出すことのできる色があるのですね。

 

猫のサシュ
窓際に並んだ様子です。

今回制作したりんご染めの2匹の子はやわらかな表情をしており、以前制作した子は少しいたずらっ子のようなお顔をしていますね。

お顔は手描きである為、それぞれ少しずつ表情が違い、その時の仕立て具合により、身体のラインも少しずつ違いが生まれます。それだけに、どの子にも愛着がわくのです。

猫は、「魔除け」や「幸運の象徴」といわれ、縁起の良い動物とされています。

こちらでも猫小物を紹介していますので、ご覧ください。

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おわりに

いかがでしたでしょうか。

菱刺しは、麻布の保温補強の為に施されたことが始まりですが、現在では、額やタペストリーなど装飾品も多く作られています。

今回ご紹介した立つ猫のサシェは、菱刺し模様を気軽に飾ることができ、且つ香りも楽しむことのできるものをと考え、制作した作品です。

今回使用したりんご染めの優しく豊かな色合いや、猫の丸みのあるラインなどから、制作中も特有の癒しを感じていました。

また、香りから感じる癒しもありますよね。香りにはそれぞれ、心身にもたらす効果もございます。

猫のサシェは背中の紐をほどいて香り袋を入れることができ、お気に入りの香りを纏えば、より思い入れ深いひと品となると思います。

りんご染めの色合いや猫の表情から、少しでも和やかなお気持ちになっていただけましたら嬉しいです。

お付き合いくださいましてありがとうございました。

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